はた織

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 母が買ってくれたゆず酒の香りを忘れた。

 母が用意してくれたゆず湯の匂いも忘れた。

 自分で選んだゆずの練り切りの味さえも忘れた。

 ゆう空から柚子の一つをもらふ、

 そう詠った山頭火の句までも、
 
 今日まですっかりと忘れていたから、

 きっと私のたましいの形に、

 ゆずは当てはまらないのでしょう。

 あともう少し黄味が薄ければ、

 お月さまとなってずっと愛していたかもしれない。
               (241222 ゆずの香り)

12/22/2024, 11:55:20 AM