ずい

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『あの頃の私へ』

異世界へくるまではひどい生活をしていた。顔は中の中、背が高いわけでもなく細身なわけでもない。
同じ区内にあったお嬢様学校の方がよほど男子の注目を浴びていた。
だからだろうか。
校内で行われるいびりは当て付けるようなものが多かった。
ごみ当番を代わる、朝来たら机に物がないか余計な物が増えている。転ばせるための長い長い足を行き先に置かれて戸惑うこともあった。
男子や、ピラミッドの上の方にいる女子を思い出す。
皆ひどい顔をしていた。

ふと視線を上げれば映るはお偉い方々。

糾弾を続けたいのに申し訳ないけど、私はこういうときの最善は嫌というほど知っている。
にこりと笑うのだ。口許だけで。

「発言を、お許しいただけるかしら?」

カツリとヒールを鳴らしながら前に出る。
短く、ゆっくりと、その場を制すように許されるがまま言葉を並べる。

(あの者たちに制裁を)

隠れてしまった本来の体の持ち主を守るために。
ひどく怯え始めたご令嬢方とは楽しく過ごしましょう?
ご令息方にはあの子へした事と同じくらいの辱しめを。


あの頃の私へ。覚悟はいい?

5/24/2024, 2:05:43 PM