最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。某私立図書館には、何気におでんが絶品な、飲食スペース併設の食堂がありました。
食堂の店主はお酒が大好き。
アルコール類の提供はありませんが、
店主が作る料理のことごとくは、肉も魚も果物を使った料理も、お酒によくよく、合うのでした。
ところで、そんな図書館居酒屋食堂ですが、
図書館というだけあって、試験勉強やら自習やらの児童生徒、学生さんも、チラホラ。
5人6人集まって、大皿囲んで勉強できるように、
食堂の店主はギリギリ利益が出る程度の価格で、
どっさり、たくさんの種類の具材で、サンドイッチの盛り合わせをメニューに突っ込んだのでした。
ハムにタマゴ、ツナマヨにイチゴ、主食からデザートまで入って、コーヒーと牛乳がおかわり自由。
学生さんが集まって、それをつまみながら勉強できるよう、店主は考えておったのでした……
が、お客様には「完食も失敗も結局実費の大食いチャレンジメニュー」と勘違いされまして。
「コレだ、コレだよぉ!結局実費の大食いチャレンジサンド〜! あー、良い匂いがするぅ」
その日、食堂の奥の奥あたりでは、美味しいものを愛する某管理局員の収蔵部さんが、丁度その図書館で仕事がありましたので、
一緒に仕事に来ておった法務部さんと一緒に、絶品サンドイッチの大皿を、まず、愛でておりました。
収蔵部さんはビジネスネームを「ドワーフホト」、
法務部さんは「ツバメ」と、それぞれ言いました。
「んん〜、悩むよ、悩むよぉ、
どれから食べよう、どれから食べるのが、イチバン、い〜ちばん、美味しく終われるかなぁ〜」
マーマレードとオレンジソースチキンと、オレンジココアとレモンチーズは、お土産しなきゃぁ。
ドワーフホトは美味しいものが大好き!
この図書館のサンドイッチの盛り合わせも、値段以上の美味と、良いウワサを聞いたのです。
「盛り付け方も、断面も、なかなか美しい」
ツバメはぶっちゃけ、
サンドイッチをメインにコーヒーを飲むより、
コーヒーをメインにサンドイッチをつまむので、
重視しているのはコーヒーとの相性くらい。
「ピリ辛ポークもある。面白い」
あんバターサンドをつまみ、コーヒーを含むと、
あんバタの甘さがコーヒーの酸味と溶け合って、
ふわり、優しさがツバメの口の中で咲きました。
「うん」
ツバメはサンドイッチを、すぐに気に入りました。
「美しい」
コーヒーのおかわりが自由らしいので、さっそく2杯目を貰いに行って、次はどれを食べようと、
思っておったところ、
テーブルに戻ってきた頃には、
おやおや、おかしいですね、
ツバメが1個食べたハズのあんバタサンドが、盛り合わせの大皿の上に、復活しています。
「ん?」
ツバメは目をパチクリ。
「……うん」
あんバタは、2個盛られていたのかもしれません。
きっと、そうに違いありません。
「どーしたのツバメさぁん。早くしないと、ツバメさんが好きそうなの、食〜べちゃ〜うよ〜」
「構いませんよ。私はコーヒーさえ、飲めればそれで良いので。余り物でも結構です」
れにしても本当に美しい」
コーヒー2杯目。ツバメは今度は、お皿に何個残っているかを数えてかられにしても本当に美しい」
コーヒー2杯目。ツバメは今度は、お皿に何個残っているかを数えてから、
その時点で2個残っている、シンプルなハムマヨレタスをつまみまして、ぱくり。
「これも美味い」
「ベーコンレタスも、なかなか美味ぃ」
おやおや、食堂の店主さんが、淹れたてにしてキンキンのアイスコーヒーを、補充に来ています。
「ドワーフホトさんも、どうですか」
「ミルクとお砂糖よろしくぅ〜」
ツバメとしては、コーヒー3杯目。コーヒーを凍らせた氷を適量入れてもらって、片方にはミルクとシロップも追加してもらって、
さっそくテーブルに戻ったところ、
おやおや、やはり、おかしいですね、
ツバメが1個食べて、2個になったハズのハムマヨレタスサンドが、盛り合わせの大皿の上で、
なんということでしょう、3個になっています。
「……ん?!」
ツバメはやはり、目をパチクリ。
「え? んん??」
ツバメはドワーフホトを、じっと、見ました。
「どーしたのぉ、ツバメさぁん」
ドワーフホトは、こっくり。首を右に傾けます。
「あの、」
ドワーフホトさん、盛り合わせに何かしました?
ツバメがそう続けようと、口をあけたところで、
「……あー、 いえ、 なんでも」
すべて、美しく理解してしまったので、とりあえず、ドワーフホトにアイスコーヒーを渡しました。
「ふーん。ヘンなツバメさぁん」
ドワーフホトとツバメが食っているサンドイッチの盛り合わせの皿の下には、2皿、同じものが重なって、隠されておったとさ。
「……急いで食べなくて良いですよ」
「はぁーい」
6/11/2025, 5:23:02 AM