遠野 菓子

Open App

桜散る
心が落ちていた、桜の花びらが水たまりに落ちて引っ付いている
あんなにキレイに咲いた桜もこんな終わり方をするなんて無常な気がした
その頃の記憶では桜が咲いている時の事は覚えていない
あの水たまりの桜の花びらが唯一の記憶だ
あの年、大学を卒業して言われた赴任先は
日本の北のはずれだった
関東から離れる事は無いと聞いていてのに
どうしてこんな寒い土地に私は今、居るんだ
その年のGWも悲惨だった
なれない4月の新生活、口の端を上げて兎に角笑顔でいようと仮面のようにそれこそ
桜の花びらのように引っ付いていた
GW軽く風邪を引いた
大したことないのに体が動かない
分かっている…心が沈んでいた
桜はどんな気持ちで散りゆくのだろうと考えていた、木だから気持ちなんて無いのは分かっている、だけどそう思っていた
桜散る、人が散るって死ぬ時なのかな?
でも桜は翌年も開花する
人はそれっきりだ
桜が散る時は全力で咲いた後だからだ
自分も全力で会社に馴染もうとしてもう動けないでいる、自分は散ったのか…
静養してもう一度、息を吹き返したらいいのか…と心に余裕が出来た
桜の木は散った後、裸のまま翌年に全力で咲くために、ただじっとしている
自分も今は、じっとしていていいんだ
桜の木程、長くは休めないけど
このGWはただ好きなように暮らして居ようと思っていた
早く関東に帰りたい気持ちから
この土地を好きになることから始めようと
コーンスープを飲みながら関東への思いを断ち切った桜舞い散る季節も見送っていた

4/17/2026, 10:02:09 PM