僕は生きてきた18年間一度も街へ行ったことがない。
「街」
ああ、なんて素敵な響きなんだろう。
僕もいつか…行ってみたい。
そう、思っていた。
14歳になるまでは。
僕が13歳だった時。
仕事上の関係で、父さんと母さんが「街」に行くことになった。
正直、憧れだった街に行く父と母が羨ましかったが、仕事関係の遠出に子供がついていけるわけが無い。
土産話をたっぷり持って帰ることを約束した2人の背中が見えなくなるまで手を振り続けた。
それから2日たってから帰ってきた2人は、別人かのようにげっそりとやつれていた。
これはただ事では無いと思い、その日は街のことを聞くのは諦めた。
そして次の日。
2人はまた街へと出ていった。
今度は1週間帰ってこなかった。
この前と比較にならないほどやつれ果てた2人をみてさすがにおかしいと思い、街で何があったのかを問い質した。
2人は…何も答えずに、涙を流していた。
次の日の朝。
2人は揃って宙に浮いていた。
その日は僕の14歳の誕生日だった。
目の前の光景を受け入れるにはまだ幼かった。
でも、受け入れられずとも、何が起こったのかは理解出来た。
僕はただただ立ち尽くしていた。
後から後から涙が溢れて止まらなかった。
ふと、足元に落ちた紙切れを見つけた。
それを拾い上げると、なにか文字が書いてあった。
そこには、
「絶対に街には行くな。父さんと母さんはお前と違うところに行くが、どこに行っても見守っているよ。体を大切に。私たちと同じところに行こうだなんて決して考えるんじゃないぞ。お前は優しい子だ。どうかそのまま、そのまま楽しく生きて欲しい。もう一度言う。絶対に街には行くな。愛してる」
「いやだ…いやだいやだいやだいやだいやだ…
置いてかないで…」
戻りたい、あの頃に…
3人で笑いあって過ごした、幸せな日々に。
ずっと続くと思っていた。
このまま2人はおじいちゃんおばあちゃんになるまで生きて、幸せなまま人生を終えるのだと思っていた。
それを…望んでいたのに。
「街」
その日から、この言葉は、その場所は、僕が最も忌み嫌うものとなった。
でも、ずっと気になっていた。
大好きな父と母を死に追い込んだのものの正体はなんだったのか。
そこまでして僕に街に行って欲しくない理由は一体何なのか。
あれから4年。
今日で18歳を迎える僕は、全ての謎を解き明かしに街へ行く。
父さん、母さん、ごめんなさい。
約束を破るような悪い子供で。
でも…
それでも、僕は全てを知りたい。
いや、知る義務があるんだ。
そして僕は家を出た。
2023/1.29 街へ
お話が思いつかなくて書けませんでした。
すみません…(最も、私の書くお話に需要は無いのですが…)
街ってなんだろう。
最初は、インターネットの世界を書こうと思いました。(誹謗中傷等…)
しかし、なんかこう…しっくり来なかったので(語彙力)違うものに変えました。
皆さんはここで言う「街」ってなんだと思いますか?
何故お父さんとお母さんはいなくなってしまったのでしょうか?
そして…お話の中で出てくる「僕」は、街に行ってから帰ってこれたと思いますか?
今回のお話は、「僕」の気持ちになって読んでいただけると嬉しいです。
名前の決まりそうな作者より
1/29/2024, 8:50:28 AM