月凪あゆむ

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ジャングルジム

「ねえねえママ! あたしもジャングルのジム、いきたい!」

 ん?
 ジャングル「の」ジム?
「あなたにはまだ、はやいかなー」
「はやい? なんで?」
 なんで? はこちらが聞きたい。
「ね、ジャングルのジムって、誰から聞いたの?」

「おにいちゃん!」

 あぁ、なるほど。
「なら、お兄ちゃんにお願いしてみたら? お兄ちゃんなら、知ってるから」
「! ほんと?」
「うん、本当」
 それはもう、にっこりと笑ってみせた。
「わかった! おにいちゃんにきいてくるね!」
 嵐のようにやってきて、嵐のようにとたとたと、いなくなる娘。きっと息子は困るだろうが、まあ自業自得だ。
 なんたって、まだまだ若き4歳児にあんな嘘を教えるんだから。

「あれは、違うって!」
「だっていってたよね、『ジャングルのジムは、スリルがあっていいんだ』って」
「いや、あれはさ……!」

 ほら、12歳児が4歳児に負けてる。
 どのあたりで割って入ろうか。またはもう少し傍観するか。
 さっきとはまたちょっと種の違う、笑いがこみ上げてくる。我ながら、悪いなぁ。

9/23/2024, 10:55:32 PM