地元遠いんだ。お母さん寂しいんじゃない?と言われる度、そうですねという言葉と共に浮かべた笑顔が固くなる。
良い家庭が光なら私の家はなんなんだろう。
暴力は振るわれなかった。習い事や進学もさせてくれた。
ただ、ご飯を家族揃って食べた事だけがなかった。
楽しい会話などは外出している時だけで、そもそも会うことがない。会わないから知らない、気付かない。話さないから喧嘩もしない。無関心と無傷の中で生きてきた私は、あ、やっぱり無傷ではないか。見えない傷はきっと胸の中についている。
家を出た今、毎日一人で食べているご飯の方が不思議と味がする。
こんな心の中を知って欲しいわけではない。光と影、白と黒、良い家庭と悪い家庭、きっと本当はみんなどっちつかずで本人にしか分からない地獄がある。
そんなことを思いながらへらっと笑った私の顔を声をかけてきた相手は満足そうに見ていた。
11/1/2025, 5:37:39 AM