「この道の先に何があると思う?」
そう、帰り道に幼馴染は森の奥に指を差しながらそう言った。
何処か不気味ささえ感じてしまう幼馴染の笑顔に俺は答えを考えた。
「特に何も無いんじゃないか?」
「ふふっ笑…へ〜…、何でそう思うの?」
俺の答えに対して、幼馴染の好奇心が湧いてくる。
「人がいる気配が無い気がするんだ。人が住んでるっていう。だから特に何も無い気がするんだ。」
俺がそう答えると、幼馴染は一瞬目を丸くしたように見えたが、次の瞬間には口角が上がっていた。
幼馴染は目を細め、口角をニヤリとあげ、俺にこう"答え"を言った。
「私ね、この質問、親にも言ったことがあるの。そしたら親は何故か"私が人には見えない何かが見える子"って思い始めたんだ。」
夕日に照らされながらそう、淡々とした口調で話を続ける幼馴染。
「人ってさ、必ず第一印象でその人はこうって決めてしまうと思うの。だから親は、私がそう言った時にそう感じてしまったんじゃないかな。」
最後に幼馴染は、風に髪の毛を靡かせて、俺の目を見つめながらこう言った。
「強く生きてね。世の中には第一印象だけに囚われる人が沢山居るから。」
7/3/2024, 1:18:54 PM