〈お題:やさしい嘘〉
「悪くない」
鏡を見てそんな感想を残す。かなり適当な感想だ。改善点すら言わないこの手の言葉の内側は"普通"という、感情の起伏が起こり得ない感想に占められる。
「無難が一番」
鏡に映るその姿に1度目の感想で気を悪くした可能性を憂慮して付け加える。
しかし、それこそが悪手。
「無難か…」
おそらくは…きっと、それなりに時間を掛けて決めた服なのだろう。この言葉を聞いて悪手を打ったことを知った。気の利いた言葉は今や後手でしかない。
ならばやる事は一つ。
“無難な服"が輝ける場所へエスコートする事だ。出掛け先はこちらが決める事。
服に似合う場所は何処だったか。着こなし具合を改めて見る。似合ってるよ。
心に秘めた感想はまた次の機会に落ち込んだ時にでも言おう。
1/25/2025, 1:05:51 AM