「夜空を駆ける」
寝る前、カーテンを開け夜空を見上げる。
いっそこのままあの一番星になりたい。
なんて叶わない願いに手を伸ばしてみる。
馬鹿らしくなって布団に潜る。
そして夢を見た。
誰かと手を繋いで夜空を駆ける夢。
手を繋いでいるのは誰かわからない。
でも彼女は悲しそうに涙を流していた。
真っ黒で絹のような髪を月明かりに照らし、大きくぱちりとした瞳が目立っていた。
彼女は誰?
そして目が覚めた。
あの夢は定期的に見る。
彼女は一体誰なのか全く分からなかった。
そんなこんなで数年後、高校生になった。
今日は女の子が転校してくるらしい。
対して興味もないから適当に拍手でも送る。
下を向いていた顔を前に向けた。
夢で見た彼女が立って自己紹介をしていた。
彼女は僕と目があうなり、目を見開き驚いたように声を出す。
「貴方、何処かで会った?」
僕は確信した。
夢で涙を流していたのは、彼女だ。
彼女はまた涙を流し僕に跳んでくる。
ずっとこうなる運命だったんだね。
2/21/2025, 2:17:18 PM