よい

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空は開放的だった。
この空を最初に見た時、初めて単純で明快なグッドフィーリングを覚えた。
そんな感覚のために故人はココへ移民してきたに違いない。
季節の変化を束縛として感じる人はおそらく、ココで一つのパラダイスを見つけるのだろう。
過去も未来もない永遠なる「今日の空」
ココには雲ひとつない広々とした空に全てのニュアンスがはがされた。
ところが、ココでの和歌の授業は心なしかつまづいてしまった。
サッカーをしている日本人血筋の生徒に清少納言の感想を聞くと

あ、あ、今までは春がいいと思ってたけどやっぱり秋もバカにできないと思いました

そう述べる彼にはそんな実感は全くなさそうだ。
春はあけぼの?いいや、毎日はあけぼの。年中はあけぼの。俺たちにとっては季節の区別なんて歴史の領域なんだ。
毎日変わらないコバルト色の「春の」空でも「秋の」空でもない天空がやけに滑稽に見えた。
地球から来てたちまちノイローゼになった女子大生が言っていたことを思い出す。

ココはテンキとゲンキだけの世界

僕はだんだん深刻な虚無感に苛まれて、僕の気持ちとは関係なしに明るく広がる空を白々しく感じた。

映えないねずみ色の空が恋しい。

.物憂げな空

2/26/2024, 5:07:52 AM