雪が土を湿らせる。
柔らかな土と日差しが君を温める。
まだ、ちいさく幼い君は己の殻を破るため力を込めて、もがいている。
硬い殻を破ったとて、すぐには現れない。
時間をかけてふたつの葉を開かせる。
君は、日を追う事に殻を破った努力が、自らの成長への1歩だと実感するだろう。
沢山食べて、沢山飲んで、沢山息をする。瑞々しい体を空へ伸ばす。
初めの葉を養分にしてまだまだ伸び続ける。
子供から大人になる季節、君もまた、大人になる。
大きく、可憐な花を惜しげも無く咲かせる。
朝露に濡れる花は、可愛く、美しく、妖艶な輝きを持ってみつばちを呼び寄せる。
みつはちとの協力が実を結ぶと、新たな生命を誕生させる準備を完了させる。
君が枯れてしまっても、君の子は君と同じように、元気に育つだろう。
生物の目的、次世代へのバトンタッチができたのは、君が魅力的な花を咲かせることができたからだ。
それは、君の小さい、けれど大きなきっかけからだということを忘れてはいけない。
7/23/2024, 6:33:25 PM