花より団子ならぬ、花より酒、だ。
そんな無粋なことを思いながら、レジャーシートの上で一人酒を呑む。
時代は随分便利になってしまったものだ。
アルミニウムの缶さえあれば何処でも酒を飲めてしまう。
人々の賑わう声をどこか遠くで聞きながら、薄桃色の花を見上げた。
お前を攫ってしまった憎き花、それなのに美しいと思うのは何故だろう。
「お義父さん、お待たせしました」
嗚呼、可愛い息子が来てくれた。
その頭にはぴょこり、随分身体が小さくなってしまったお前もいる。
「場所取りありがとうの、」
にこり、文字通り目が笑う。
少し先走ってしまったが、今から花見を始めることにしよう。
4/4/2025, 10:32:05 PM