重い布団を持ち上げてひんやりとした炬燵に足を滑り込ませる。電源を入れたばかりのそれはぬくもりの記憶を裏切っていて、たびたび新鮮な気持ちになることを以前の冬ぶりに思い出させられた。すっかり温められた安心感に包まれるのも良いが、じわじわと熱で解けていくのを楽しむのも趣がある。
日によっては氷点下を記録することも増えたというのに、まだ私の住む地域は初雪を迎えていなかった。その代わり雨は降る。現に今も窓の外は細い雨粒が地を叩いていたのだが、いっそ雪になってくれやしないか。
別に雪が好きなわけではない。そもそも寒いのは嫌いだし、雪が降っていると余計寒い気がしてくるし、足元が滑るのもブーツやズボンが雪にまみれるのも嫌いだ。
ただ待っているだけ。それだけなのだ。
『雪を待つ』
12/15/2023, 7:01:27 PM