猫とモカチーノ

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「おはよう」で始まって「また明日」で終わる。
私たちの1日は、毎日そうだった。

「蒼太おはよ!またギリギリじゃん」
「おはよ。いやぁ、道でおばあちゃん助けてたら遅くなっちゃってさ」
「それ毎週言ってるじゃん!!」

蒼太は保育園の頃からの幼なじみで、小学校、中学校、高校と毎日のようにくだらない話をしていた。

授業中に居眠りして怒られている姿も。
4限目のチャイムと同時に購買に走る姿も。
帰り道、近所の子どもたちと服がドロドロになるまで走り回る姿も。

いつも側で見てきた。

でも、近すぎるのも良くないみたいで。
毎日一緒にいるのに、この気持ちだけはずっと言えずにいる。

「じゃあ、また明日」
「おう!また明日」

今日はダメでもまた明日。次こそは。明日こそは。

そんなふうに、先延ばしにしていたから、神様が意地悪をしたのかもしれない。

……その日、蒼太に明日は来なかった。


お題『また明日』

5/22/2024, 10:24:31 AM