SHADOW

Open App

雪を待つ

ここはとある洒落たBAR。
ここは“お客様”一人一人に合わせた、特別なカクテルを作る特殊なBAR。
特別なカクテルは皆さんが、よく知っているカクテルではなくて、その人にあった物語の名前が付いたカクテルを出している。
例えば、『イルミネーション』や『愛を注いで』などの面白い名前が付いているカクテルを出しています。
マスターはグラスを磨きながら、本日の“お客様”を待ちます。

カランカラン.......

おや?本日も“お客様”がお見えになったそうです。
マスターは“お客様”を席に着かせて、その人にあったカクテルを作りまじめました。
本日のカクテルは『雪を待つ』という、白色と銀色を合わせたようなカクテルを“お客様”に出しました。
マスターは戸惑う“お客様”ににこりと微笑むと、カクテルについて説明をしました。
“お客様”は戸惑いながら、グラスを傾けました。
優しくにこりと微笑むマスターの前で、“お客様”は目を閉じ眠っていました。
マスターは気にせず、“お客様”が起きるまでグラスを磨き続けていました。
数分後に“お客様”は目を覚まして、マスターと少し話していました。その一杯で満足した“お客様”は扉に手をかけ、BARを後にしました。
マスターは

「 今夜はもう閉店でございます。
またのお越しを楽しみにしております。
お客様 」

と言い、“お客様”が見えなくなるまで頭を下げていました。
“お客様”が見えなくなった時、マスターの顔から笑みが消えました。




すみませんお客様。
今日は
《閉店》
と申しましたよね...?
なので。
お帰りならないと私は店を閉められません。

帰れるうちに帰る事をおすすめしますよ...
















ほら、『雪を待つ』事をしないでお帰りください

12/15/2023, 11:30:06 AM