とある洋館で事件が起きた。
被害者は館の主人。頭から血を流して死んでいた。
犯人は長年仕えていた執事。主人の最近の金遣いの荒さを指摘したら激昂したため揉み合った末の事故だった。
たまたまいた探偵によって犯人も動機も明らかになったため、これにて事件解決。お疲れ様でした。
最後まで探偵は知らなかった。
執事に娘がいたことを。
最後まで主人は知らなかった。
執事の娘が自分に深い恨みを抱いてることを。
最後まで執事は知らなかった。
娘がとんでもない演技派で、自分の利益の為ならばどんな嘘でも平気でつくことを。
そして、心身掌握に長けていることを。
私だけが知っているもう一つの物語。
語られる日は永遠にやって来ない。
10/29/2024, 12:40:29 PM