夜の静けさの中、風が窓を叩く音だけが響く。私は布団の中で目を閉じていたけど、その声が聞こえた。優しく、でもどこか切ないその声は、まるで私だけに囁くかのようだった。
「ねえ、聞こえる?」
誰もいないはずの部屋に、その声は確かに存在していた。私は首を振って、夢か幻覚かと疑うが、声は続ける。
「私の声、君の心に響く?」
窓の外、月明かりがささやかに照らす庭から、声は聞こえてくる。私は布団から這い出して、窓辺に立つ。そこには何もない。ただ、風と月の光だけが私を迎える。でも、その声は止まない。
「君の心に、私の存在が刻まれるよ」
なぜか涙がこぼれる。私はその声に、自分の孤独を感じていたのだろうか。それとも、どこかで待ち望んでいた存在だったのか。私はただ、その声に身を任せることにした。
「私の声が君の心に響く限り、私はここにいるよ」
その瞬間、心のどこかが温かくなった。私はもう一度目を閉じて、その声に導かれるように再び眠りに落ちていった。
完
お題:君の声がする
2/15/2025, 9:07:37 PM