犀川

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《泡になりたい》


夜明け前の湖は鏡のように静まり
風も 鳥も 息をひそめる

ひとつ、泡が生まれる
深い水底から、誰かの願いを纏って

きみは微笑む
「綺麗だね」
でも…その声は、どこか震えていた

触れれば壊れるその小さな命に
なぜか、胸が軋んだのは
記憶にないはずの痛みのせいだろうか

ある朝指先が濡れていた
ある夜名前を呼ばれた気がした
気づけば同じ夢を繰り返していた

泡が浮かぶたびに減っていくのは
水でも時間でもなく
──数えきれない「誰か」の痕跡

それでも泡は今日も生まれる
何も語らずただ儚く…消えてゆく

──泡になりたい
そう願ったのは…ほんとうは
君じゃなかったのかもしれない。

8/5/2025, 3:47:36 PM