冬科

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『答えは、まだ』


今日、好きな人に告白した。

相手は、僕のことを知らないと思っていた。

だって自分は、所謂「隠キャ」と呼ばれる人間だからだ。

これに関しては自他ともに認めることだった。

でも、君は僕のことを知ってくれていた。


「隣のクラスの……、去年クラスおんなじだったよね?」


「え…、知ってるの……?」


「話したことあったから。ほら、グループワークのとき。ずっと同じ班だったじゃん」


まさか、覚えていてくれてるとは思わなくて、胸がぎゅうっとする。



そもそも、この告白は自分の気持ちにけりをつけるものだったから、こんなに会話が進むとは思っていなかった。

どうせ、「ごめんなさい」で終わりだろうと思ってた。

だけど、君はこんなに知っててくれてたんだ……。



「うーん、告白なんだけど……」

あ、来た。今しがた想像してた結果が来るときだ。

高く高くレンガを積み上げて、心の壁を厚くして、飛んでくる言葉に覚悟をした。


「君のこと、私まだ全然知らないと思うからさ……、」


その通りだ。自分が一方的に知ってるだけ。


「だから、」


「答えは、まだ。——先送りにさせて」






書いてて自分が恥ずかしくなってしまった
よくある設定のお話です

9/16/2025, 1:18:47 PM