海街 鯨

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「洒落喰一族」

その一族に産まれれば、その呪縛から逃れることはできない。


私は自由ではなかった。


いや、一族全員が自由ではないのだろう。



御三家の次に並ぶ、九つの家の一つ。


一条家の長女として生まれた私は、人としての生き方を知らない。






10歳で当主になった時、背中には蝶紋様の焼印を入れられた。


12歳の時、師匠から一品のペンダントを受け継いだ。


15歳の時、洒落喰一族御当主様から赤色の髪飾りをいただいた。


20歳の時、元一条家当主こと父から
一条当主としての証の耳飾りをいただいた。



これら全ては私を強く縛り付けた。




5/23/2024, 10:12:52 AM