その日記には鍵がかけられていた。
古い屋敷には、昔、1人の魔女が住んでいたという。
そんなの噂話だと笑うものも多いが、ボクはそれが真実だと知っている。なぜなら、その魔女にボクは会ったことがあるからだ。
幼い頃、ボクは家から逃げ出してしまった飼い猫のあとを追いかけて、その屋敷に入ったことがある。
屋敷内をあちこち探しても、猫はいなかった。外が暗くなってきて仕方なく帰ろうとしたとき、トントン、と後ろから肩を叩かれた。
びっくりして振り向くと、そこには黒い三角帽子を被り、黒い服を着た女の子が立っていた。ボクの猫を抱っこして。
「この猫は、キミのかな?」
そういって、優しく笑う女の子は、絵本の中でみた、魔女にソックリだった。
ボクは、ちょっぴり怖いのと、ちょっぴり恥ずかしいのが入り交じって、声をだすことができず、こくん、と頷いた。
「よかった。はい。」
と、女の子は猫をボクの方に差し出した。
ボクは、
「ありがとう。」
と言うのが精一杯で、猫を抱きしめるとただ前を見て家の方角に走りはじめた。女の子のことが気になったけど、後ろを振り向くことができなかった。
月日は流れ、
ボクはまた古い屋敷にいる。
あの日連れ帰った猫の首輪には、見慣れぬ鍵がつけられていた。なんの鍵かわからず、ずっと閉まったままだった。
今、その鍵を使うときがきたんだ。
カチャ。
閉ざされた日記の1ページ目には…
1/19/2026, 7:25:39 AM