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降り止まない雨
その日、私は帰るなり自室へ駆け込んだ。
あまりにも心が弱っていた。
ここまで明るく努めていたがもう、限界。
いつもなら泣いていた。
相変わらず泣き虫だったから。
その日は違った。
泣きたいはずなのに、カラカラに乾いて一滴も出ない。
こういう色々あって
「もう嫌だ」
となっているときは、わっと泣いて
だんだん馬鹿らしくなってきて、
また、頑張ろうと思えるようになるのが一番なのに。
私は、どうすればいいの?
そもそも私は何で心の引っかかりを見ぬふりできないの?
しかも、表に出さない癖が付いてるから尚更辛い。
ただ、押されて怪我しただけ。
相手も私も悪意がなくて、
ただの事故。
多分相手は気付かなかった。
きっとそう。
じゃないと笑いながらスルーして去っていかない。
別に、目なんか合ってない。
大丈夫、大丈夫。
ただ、それだけのことじゃんか。
もっと、沢山世の中大変な事あるし、
このくらい。
よし、気分転換に外に出よう。
ふらり、と立ち上がる。
あ、絆創膏変えなきゃ。
ガーゼの方がいいかな。
さっと手当をする。
私は手当が終わると散歩に行った。
「「あ」」
「偶然だね!」
「うん、そうだね〜
……なにか、あった?」
「え?」
「無理してるように、少し見えたから。
あれ?その怪我、どうしたの?
大丈夫?
あ、聞かないほうがよかった?
ごめん、泣かないで。」
「泣いて、ない。」
「いや、泣いてる。」
優しさが、氷を溶かしたかのように、
涙が溢れた。
しばらく泣いていた。
降り止まない雨のようだった。
その間、隣にいてくれる優しい友達がいるのは、
私は人に恵まれたのだろう。

5/25/2024, 10:43:57 AM