結猫

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眠ることが嫌いだ。
幸せな夢を見るからだ。

1ヶ月ほど前、私たちは少し遠くへ泊まりに行った。
その帰りだ。居眠り運転手がこちらへ突っ込んできた
家族は私以外皆死んだ。
それからだ、私が幸せな夢を見るようになったのは
皆何事もなかったかのように普通にいて当たり前のように当然と食卓を囲んで楽しそうに話している。
そこで、いつも目が覚める。
一気に現実に引き戻される。
周りの大人たちは私を"かわいそうな子"と同情の目線を向ける。
——-ただ、親友のあの子だけは、なにも言わないでそばにいてくれる。私がどれだけ泣いても、暴言を吐こうと、次の日には、いつものように話しかけてくれる。それがとてつもなく嬉しく、ありがたく思った。
でも、やはり夜は来るし眠気もおそう。
眠るまえにあの子の暖かさと、睡眠への嫌悪をいだきながら私は今日も眠りにつく。

                      

11/2/2024, 11:06:29 AM