渚雅

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"自由" "解放" "独り立ち"

誰も彼も笑顔で夢を語る。大海を一人飛んでゆくのだとまだ見ぬ空に思いを馳せて希望を紡ぐ。どこまでも前向きに恐れもなく一歩踏み出す。


「また会おう」

それがとても眩しくて羨ましくて,理解不能だった。


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規則は鎖ではなく道標で,指示は重荷ではなく追い風だった。自分は無力で平凡で社会は冷たく無情だと知っていた。夢は目標であって願い事ではないし,希望は想像の産物だった。


守られている恩恵は理解していた。それは今だけの特権なのだと。脅威に晒されず暮らしの保証された住処。それが囲うだけの"ゲージ"であっても構わなかった。

衣食住 + 愛

見世物でもよかった。欲しいものは正解は与えられて 自分は自分であればよかった。だから今日も鳥籠で謳う。


蝋の羽根は熱に耐えられず崩れ落ちる。ほらまたひとり。

定額退学退職解雇…… そんな話は絶え間なく。あの頃の夢を抱えたまま息を出来るのは幾人か。夢想家は悪夢と微睡むばかり。


だから今日も謳いましょう。彼等の人生を讃える詩を。彼らの夢と希望をメロディーに乗せて。物語を綴りましょう。

己の幸福を噛み締めて



テーマ : «鳥かご» 15

7/25/2023, 10:35:38 AM