「余命数刻ですね」
お医者様の言葉に頭をガツンと殴られたような衝撃が走る。隣を見れば余命宣告された相方が俯いている。
嘘だと信じたいけれど、容赦なく診察は進んでいって元いた病室に戻ってくる。
二人の間には気まずい空気、口を開くのが躊躇われるように思えた。
ふとあなたは此方を見ると眉を下げて笑った。
「最期の最後まで一緒にいてほしい」
震える手を伸ばされその手を両手で掴み頷くとあなたはホッとしたようだった。
どこにも行かないで、なんて言えるわけもなくて。
あぁ、この世界は
なんて残酷なんだろう。
お題∶どこにも行かないで
6/22/2025, 8:17:47 PM