目を覚ますと、見覚えのない部屋。
何もない床の上に横たわっていた。
確か…パチンコの帰り道、負けてイライラしながら、地下鉄の階段を降りていたところまでは覚えてる。
電車には乗っただろうか。
そこの記憶はない。
静寂に包まれた部屋。
誰もいない。
壁は白く、窓も…扉もない。
そんな馬鹿な。
どこから入ってきたというのか。
天井の片隅に、小さなスピーカーがあるのに気付いた。
突然、静寂を切り裂くように、聞き覚えのない男の声が響き渡る。
「どーですか。少しは反省しましたか?」
「反省…?何の話だ?」
「困るんですよね。好き勝手やられちゃ」
「だから何の話だよ。お前は誰なんだ」
「私ですか?私は、あなたの…」
ザザザ…ガガガ…ノイズが混じり、聞き取れない。
「おい、どーでもいいからここから出せ!」
「…ご自由に、どうぞ」
見ると、部屋の片隅に、いつの間にか扉が出現していた。
立ち上がり、扉に向かって走り出す。
とにかく、ここを出ることしか頭になかった。
扉を開け外に走り出ると、そこは線路の上。
すぐ目の前に電車が迫っていた。
振り返って目にしたその扉には、
「リトライ待機部屋」
と書かれたプレートが。
そうか…あいつは俺の…プレイヤー…
そこまで考えたところで、眩い光とともに、かつてない衝撃が体に降り注いだ。
9/29/2024, 3:54:16 PM