スポットライトにあたる彼女を見ると
心臓が忙しい。
目が合うと必ずニコって微笑んで
みんなに心拍音が聞こえるんじゃないかってくらい
忙しく流れる僕の血液。
彼女は美しい。
顔もスタイルも性格も全部。
でも彼女は放課後の帰り道僕に言ったんだ。
「可愛いとか美人とか
みんなは言うけど上辺だけ見てるから良く見えるだけ」
僕は思わず口を結んだ。
確かに裏側なんて見てなくて
上辺だけを見ていたから。
「...じゃあホントの君を僕に見せてよ」
「ホントの私はあなたの理想を崩すの」
少し俯いて小さく震えた声で話す彼女の顔は
落ちかけている太陽が隠していた。
僕はここでも“美しい”そう思ってしまう。
「いいよ。僕の理想を壊して。
ホントの君を見せてくれるなら。
上辺しか知らない僕は君の話を聞いても
きっとどんな君も美しいって思うから」
僕はそう言って彼女を見た。
彼女は僕に顔を見せないように
マフラーに顔を埋めていた。
顔を見せないのは照れた顔を隠すためでしょ?
そんな彼女が可愛らしい。
きっと何をしても美しいあなたを
僕はずっと見ていたい
─────『美しい』
1/16/2023, 8:02:23 PM