「お前だけは──」ガタガタと、電車の通り過ぎる音で目が覚めた。久びさに見た夢はどうしようもなく重たい記憶で、いつしか自分の生きる意味になっていた。朗らかな光と、鳥の声で目覚めていたあの頃。綺麗な景色の中、色のない日々を送っていたあの頃。彼の言葉だけが魔法のように意味をくれた。「お前だけは、先に逝くな」残された今、それは呪いになった。
2/23/2025, 5:31:41 PM