森瀬 まお

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今日の学校からの帰り道。
「俺さ、キャンドルが苦手なんだよね。」
私は幼馴染みに唐突にそう言われた。
別にそこにキャンドルが置いてあった訳でも、キャンドルの話しになった訳でもなかったのに、急にそう言われた。
私は反応に困って、
「そうなんだ。何か嫌な思い出でもあるの?」
と、深く考えもせず聞いた。
すると、幼馴染みは少し、恥ずかしそうな顔をした。
・・・・・・もしかして、答えにくい質問をしてしまったのだろうか。
私はハッとして、話題を変えようとテンパった。
「あ、あの、っ今日の給食美味しかったね。」
「・・・・・・今日、給食、お前の嫌いなキノコ尽くしのメニューだったぞ。」
「・・・・・・。」
「ふっ」
・・・・・・あぁー、私のバカ!!もうちょっと、マシな会話出来ないの??幼馴染みも鼻で笑っちゃてるよ・・・。
「あぁ、もう!!」
急に幼馴染みが、大きな声を出した。
・・・・・・なんか、怒らせた?!ど、どうしよう・・・・・・
「あのさ、今から話すこと、内容理解したら、すぐ忘れろよ。」
また、唐突に幼馴染みが言った。
「いい?」
「う、うん・・・・・・?」
私が状況を理解しないまま、幼馴染みは話を始めた。

「昔、お前の母親が入院したかなんかで俺んちで預かってたことあったろ」
「うん。」
「そのときに、一緒にキャンドル作っただろ」
「そうだっけ?」
「覚えてないのかよっ」
「・・・ごめん。」
「まぁ、良いんだけど。そのときに、作ったキャンドルを交換したんだよ」
「そう言われてみればそんなことをしたような?」
「で、そん時、凄い幸せだった」
「ん?じゃぁ、なんで苦手になったの?」
「なんかさ、キャンドルに火を着けたら、その想い出も一緒に溶けちゃうような気がして、怖くなった。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・俺、お前が大好きだからさっ。」
「そりゃ、どーも。私も大好きだよ。っていうか幼馴染みだから、嫌いなわけないんだけどね。」
幼馴染みは、呆けた顔をした。
「いや、あの、そういうことじゃ・・・・・・」
「ん?じゃぁ、どういうこと?」
ずいっと幼馴染みに近づくと、幼馴染みは顔を真っ赤にした。
「・・・・・・気づけよ、バーカ!!!!!!!!」
幼馴染みはそういって、すたすた歩いていってしまった。
「・・・・・・」
覚えてるよ、バーカ!!!!!!!!
大好きな人の背中を見ながら、私は密かに想うのであった。
「その苦手は、一生克服、しないでねっ。」


















#キャンドル

11/19/2022, 1:09:20 PM