好きな色
「ねぇ 君の好きな色ってなあに?」
唐突に、横に居る君が僕に聞いてきた。
僕は、作業をしながらだったので彼女の顔を見ずに前を向いて考える。
好きな色? 好きな色?
まずは、赤 青 黄色の三原色について
考える。
赤 情熱的な夕日の空には、赤みがかった
オレンジが似合う
瑞瑞しいトマトには、真っ赤な濃い赤
光の反射と雨の雫が赤に映える
青 爽やかな澄み切った青空 そこに少し
白を入れると水色の快晴の青空が心を
洗い流してくれる。
ちょっとした影の陰影や 光の角度の当たり具合で青がアクセントになったりする。
黄色 太陽を見つめる向日葵の色
酸味の果汁を持ったレモンの色
緑 青草の匂いをくれる新緑の色
黒 君の艶やかな長い黒髪を表現する色
僕は前を向いて好きな色を決めかねていた。
だって僕は、今 現在進行形で筆を動かして キャンバスに色を塗って
パレットに色を乗せて色を作って
美術部の課題である絵を完成させているのだから そんな、僕に好きな色と言う質問は難問だった。
「どの色にもお世話になっている僕には
好きな色なんて選べないよ
だってどの色も僕にとっては必要で
大事な物なんだから 無駄な色なんて
一つも無い」と僕は、筆を動かして答える
すると彼女がそんな僕を見て笑いながら
こう言った。
「そう言う時は、こう答えれば良いよ!
僕の好きな色は虹色ですってね
そうすれば少なくとも7色は最初から君の
好きな色だよ!」と彼女はにっこり笑って
僕に言う。
かなりの暴論だがそう言った彼女の笑顔が
可愛いかったので この課題が終わったら
彼女に絵のモデルを頼んでみようかなあと僕は思った。
6/21/2024, 10:12:40 PM