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クリスマスの過ごし方


水色の妖精は今年はじめてクリスマスを知りました。
ぴかぴか光る星たちが吊り下がったモミの木や、色とりどりの包装紙に包まれたプレゼントの箱。ドアの向こうからはおいしそうないい匂いがただよってきます。

妖精はそっと羽を震わせると、家の外に飛び立ちました。
雪がちらつく庭は大勢の妖精でにぎわっています。みな色はなく白い光を放っており、ひそひそと言葉をかわしながら家のドアを見つめているのです。
白い妖精達の言葉は全く聞いたことのない言語で、水色の妖精には理解できません。

水色の妖精はふいに雪だと思っていたのはあたりを飛び交う妖精達の姿であることに気がつきました。


白い妖精達はひとところに集まり白いかたまりとなりました。やがて大きな2つのはねに変わり漆黒の空に飛び立ちました。

おお、今年もちょうどいいタイミングだな。

突然空の向こうから現れた年老いた人間がそう言うと、はねはその人間の背中にぴったりはりつきました。

サンタクロースはいないと知った子どもたちの涙が白い妖精となり夜明け前にサンタのはねに変わることを、水色の妖精は後に知るのでした。

12/25/2024, 10:51:40 AM