糸花

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『何気ないふり』
話すことがほとんどない男子と、日直になってた。

今朝取りに行ったから、日誌はあたしが持ってたし、当然あたしが書いた記録がある。

どうしよ。

とりあえず、やれることはやって、記入しないと。

背伸びしてやっと消せるところまで、びっしり書かれてる。その上を軽々いってしまう男子の手。

日誌持ってる?
そう言ってきて、声が出せなくて、指差しをした。

ぱらぱら捲って、シャーペン借りていい? その声にも頷いて返事するのが精一杯。

「黒板、上のほう、消してくれてありがとう」
「……別に。そういうの言われ慣れてないから、知らない振りしとけよな~」

言わなきゃよかったかな、なんか気まずい。
窓も閉まってる、あとは鍵をかけて日誌も一緒に職員室へ持っていけばいいだけ、なんだけど。

日誌を持っていた両手が、突然軽くなる。

「日誌、俺のすることほとんど無かったし」

そう言ったら、鍵も一緒に持って行ってしまった。また言うと気まずい空気になっちゃう? でも、「ありがとっ」そう言い切ったら「んー、じゃあな」そう返ってきた。

3/30/2024, 12:17:45 PM