にえ

Open App

お題『取りとめもない話』

「ねぇ、フェネス」
 主様呼ばれてお茶を淹れる手を止めた。
「私のお母さんってどんな人だったの?」
 薪の爆ぜる音をBGMに、見たいとねだられてお貸しした俺の昔のアルバムを捲りながら、主様は尋ねてきた。
「主様のお母様は、そうですね……一言で言えば陽だまりのような方でした」
 目をぱちくりさせると「なぁにそれ」とくすくす笑った。
「ナックは私のことをそう言うし、しかも抽象的だし……」
 わざとらしく頬を膨らませる主様に、ついつい微笑んでしまう。
「そういうところ、そっくりですよ」
「そういうところ? そういうところってどういうところよ!?」
「ナイショです」
 お茶が濃くなってしまった。ミルクをたっぷり入れておこう。

こうしてとりとめもなく夜が更けていった……。

12/17/2024, 12:23:19 PM