—凍てつく星々に囲まれて—
大学は冬休みに入り、彼女と北海道までスキー旅行に来ている。
「そうそう、上手くなってきたじゃん」彼女に褒められた。
「なんかコツを掴んできたかも。ここまで教えてくれてありがとう」
一時間ほど、彼女に付きっきりでスキーを教えてもらっていた。
最初は立つだけでも難しかったのに、今は初心者用のコースを滑れるくらいまで成長した。
「もうちょっと上まで行ってみる?」
「うん、頑張ってみる」
少し怖いけれど、ここまで練習した成果を彼女に見せたかった。
二人でリフトの列に並ぶ。係員の誘導で僕たちはリフトに腰掛けた。
日は沈み、空は暗い。白いライトがスキー場を明るく照らしていた。
「ここまで付き合わせちゃってごめんね」
「全然いいよ。転んでる姿、面白かったし」
彼女はそう言い、笑みを浮かべた。
徐々に上がっていくと、空気中に浮かぶ小さな何かが輝き始めた。
僕たちはゴーグルを額まで上げた。
「綺麗」二人で思わず口にした。
ダイヤモンドダストを見るのは生まれて初めてだった。スキー経験者の彼女も初めてらしい。
その雰囲気のせいか、前のリフトに乗ったカップルは唇を合わせている。
「ねぇ」彼女は言った。
横を見ると、口元を隠していたネックウォーマーを首元までずらしていた。彼女の頬が紅く染まって見える。
僕は息を吸って目を閉じ、ゆっくりと顔を近づけた。
お題:凍てつく星空
12/2/2025, 7:31:08 AM