「じゃあ、またいつか」
そう言って君は右手を高くあげた。
「また明日(もしくは月曜日)」
なんて言い合ってきた道の角で。
へえ。そんな風に簡単に手を振れちゃうんだ。いや、分かってたけどさ。
振り返す代わりに、私の手はリュックの紐をぎゅっと握った。憎たらしい背中に、えいやと体当たりする。不意打ちを食らった君が、大袈裟によろめいて見せた。
口から心臓が飛び出しそうで、私は唇を強く結んだ。
さっきの「いつか」を「明日」に変えてやるんだから。「またいつか」なんて言わせないから。絶対に。
息を大きく吸い込んで、私は「あのさ」と切り出した。はずだった。
『またいつか』
7/23/2025, 9:17:54 AM