不完全な僕
一つ、一つ、ピースを当てはめていく。
真っ白い部屋にぱちん、ぱちんと言う音が響いている。
ピースの形をよく見てはめた。――ぱちん、ぱちん。
ふと、形が合わず、はまらない部分が数ヶ所あった。
どんなにはめる場所を変えてみても、綺麗にはまらず。
一旦手を止めて、休憩を挟む。ぼーっと真っ白な天を見つめた。
そして、再開したが、変わらなかった。口をへの字にして、考える。
なぜこのピースは、はまらないのか?このままじゃ、完全にならない。
じわりと涙が出てきたので、右腕で涙をごしごしと拭う。
「大丈夫、大丈夫。落ち着いたら、はまる」
呪文のように唱え続ける。くるくると手元でピースを回す。
上にしたり、下にしたり、右にしたり、左にしたり。
探しても探しても、ピースがはまることはない。
「仕方がない、頑張ったけど、完全にはならない。不完全な僕」
ぽつりと小さく呟いて、その場に体育座りをする。
そして、はぁーっと長いため息を吐いてから、またピースをはめ始めた。不完全な僕から完全な僕になるために――
8/31/2023, 12:28:16 PM