ぽつりぽつりと光出す街中をゆっくりとした足取りで帰っている。新卒で入社した会社にやっと慣れだした所で、他にも目を向ける事が増えてきた。
例えば、意外と帰り道が長い事、駅から少し離れた居酒屋の焼き鳥が良い匂いな事、存外この時間に子連れの家族がご飯を食べに行く事、そんな出来事に少しむず痒くてほんのりこの街に染まって来た様な心地になる。
そうして気付くと目の前に、自分の住むマンションに辿り着く。改めて見ると意外と大きなそれは少し自分を誇らしくさせた。ふと、今日カーテンを開けたままにした事を思い出し部屋を探す。
暗い部屋には遮断する物が無く月明かりが綺麗に差し込んでいた。
早く締めに戻ろうと視線を外した時に、灯りが着いた。
私は動揺して、目を逸らせなくなる。
そして誰かがカーテンを閉めた。
7/9/2023, 12:44:52 PM