tifon

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夕闇せまる中 車を走らせる
人家もない荒涼とした大地
はじめての道 はじめての場所
日没前には辿り着きたい

あと何マイル 直進です
時折りナビの音声が響く
両脇の枯れた茂みから
生き物が飛び出しはしないか

日暮れと同時に目的地に到着
ロッジに荷物を運び入れて
軽く夕食を済ませる
他の客もまばらな時期

ロッジにしか光はない
大きな蛾が自販機に群れている
もう一度車に乗り込み
光から離れた場所まで

人影はないか獣の気配はないか
緊張しながら車を降りて歩く
聞き慣れない虫の声
少し先は断崖

月もない夜 地面以外の全てが空
滲むように白く光る空のドーム
星座?一等星?もう何もわからない
溢れる星々で視野がいっぱいに満たされる

お空に果てはあるの?と尋ねる
絵本を思い出す
果てはあるから夜は暗いんだよ
果てがなかったら星でいっぱいだよ

なんてことだ
お空に果てはなかったのか
こんなにも星だらけじゃないか



「星が溢れる」

#362

3/15/2024, 10:33:57 AM