崩壊するまで設定足し算

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▶3.「鏡の中の自分」 ‪✕‬‪✕‬‪✕‬のモデル

2.「眠りにつく前に」考えること
1.「永遠に」近い時を生きる人形

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‪✕‬‪✕‬‪✕‬は旅の埃を落とすため浴室に向かった。
途中に小さな鏡があり、人形の顔が映った。

足を止め、自分の顔と向き合う。
人間と遭遇する確率が低いため表情はオフになっている。
長い旅の中で得た省エネのひとつである。

過分なトラブルを避けるために
しかし、人々との交流の一助となるように

博士曰く印象に残りそうで残らない
でも少し記憶に残る顔を目指したと。

眉は旅上手で話上手な叔父から
口元はよく笑う友人から
声は博士の不養生を叱った昔の恋人から
目元は博士自身から

記憶データとの紐付けと験担ぎとして選ばれたパーツは
それぞれ、ほんの少しだけモデルに似ている。

一人残すことになってすまない、と博士はよく言っていた。
元々は共に旅に出るつもりだったらしい。
しかし、その時に構想していたであろう肉体の顔は、
設計記録にも博士の記憶にも残っていない。

‪✕‬‪✕‬‪✕‬はデータの想起を止め、再度浴室へと足を向けた。

11/3/2024, 12:33:46 PM