たぬたぬちゃがま

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陶器のようだと思った。
彼女の肌はいつまでも白くて、硬くて。
いつまでも触っていたらいい加減にしろと言わんばかりに肩を叩かれた。
どうして。どうして。
神に永遠を誓ったのに。柔らかく笑う彼女の目も口元も、固く閉ざされて2度と開かない。

このまま一緒に埋まりたかった。同じ棺に横になり一緒に土に還りたかった。生者が駄目だと言うのなら首をかき切っても脳漿をぶち撒けても構わなかった。
あぁ、でも、君が汚れてしまう。こんなにも白で染まった君に赤は似合わない。

少しずつ棺に土が被せられる。啜り泣く声が聞こえるが、僕は全く泣けなかった。
——お姫様と王子様は永遠に仲良く暮らしましたとさ。
おとぎ話の締めの一言。僕たちにそれは当てはまらなかったみたい。永遠なんてないと偉人の誰かも言っていた。
「     」
彼女の名前を口にしても、いつもとろけるような声で僕の名前を呼び返してくれたあの声が聞こえなかった。
何度呼んでも、何度叫んでも、聞こえなかった。

どうして、彼女のいる世界は永遠じゃないんだろう。
どうして、彼女のいない世界は永遠なんだろう。



【永遠なんて、ないけれど】

9/29/2025, 8:43:04 AM