浦島低浮上

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十一日目 たとえ間違いだったとしても

ぼくは、間ちがって生まれてきたそうです。本当は生まれてくるはずじゃなくて、ちゃんとぼくが生まれないように、がんばったのに、生まれてきちゃったそうです。

 弟の部屋を片付けていると、こんな紙が出てきた。それは、もう何年も昔のもので、弟が小学生の頃の宿題だった。ところどころ涙で濡れて、よれている。本当に酷な話だ。
 弟の人生は、間違いから始まった。避妊は完璧だったらしい。しかし妊娠してしまったとのこと。発覚した頃には、既に堕ろすことができない程成長していた。ならばと親が望んだのはやはり女の子だった。しかし生まれてきたのは男の子で、両親は大きく肩を落とした。

親にはあまり愛されていなかった。しかし数年前、学生時代から付き合っていた彼女と結婚し、遠くの街へ出ていった。私も弟をちゃんと愛していた。
彼の人生がたとえ間違いだったとしても、私達は決して間違いとは思わない。

4/23/2026, 12:59:21 AM