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「や、お久」
『久しぶりぃ』
「元気そうだね」
『元気だよ』
「忌々しい」
『んふふ』
「君がご執心のあの子はいないの?」
『いたとしても合わせないよ?』
「そっか。残念」
『残念だったね』

「や、お久」
『おひさぁ』
「君がご執心のあの子は随分とご立腹の様だけど」
『あの子はぼくが嫌いみたいだからね』
「嫌われてるの?」
『憎まれてる』
「それは残念だったね」
『そうだと良かったんだけどね』

「や、お久」
『白々しいね。ずっと居たくせに』
「バレてたか」
『バレバレだよぉ』
「腹立つ話し方。わざと?」
『わざと』
「あの子の前じゃずっとそう」
『そうだよ』
「変えないの?」
『変えないよ』
「何で?」
『こっちの方が嫌ってくれるから』
「嫌われる方がいいの?」
『嫌われる方がいいみたい』
「何で?」
『どうしても?』

「や、お久」
『おひさぁ』
「ズタズタだね」
『全部あの子がやったんだ』
「ざまぁみろ」
『ぼくは嬉しがっている様だから、ノーダメだよ』
「変態め」
『きしし』
「死なないの?」
『このくらいじゃあ死なないよ』
「そっか、残念」

「や、お久」
『久しぶりぃ』
「ねぇ」
『うん?』
「何であの子に嫌われたいの?」
『何でって。嫌われたら、ずっと覚えていてくれるでしょう?』
「君はあの子が嫌いなのかい?」
『好きだよ?大好きさ!』
「好きな相手に、自分を好きになってほしくはないの?」
『全く?』
「どうして」
『ぼくを好きになるあの子なんて見たくないから』
「めんどくさいね」
『それとね、ぼくを覚えてて欲しいの。愛情よりも憎しみの方が長続きしそうだから、憎まれたいの』
「そうなんだ」
『うん。過ぎた愛情と憎しみは、大して変わらないものなんじゃないかなって。ぼくの持論だけど』

 それに、

 憎んでる間はずっと、ぼくを見てくれるだろ?

 ぼくはぼくを憎むあの子が大好きなんだ

《キャスト》
・オオクチボヤさん
とてもめんどくさい。

1/29/2024, 12:42:40 PM