七雪*

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拝啓

 桜の蕾も綻び、春の爽やかな風が感じられる季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。

 ふと、貴女の懐かしい夢を見て、こうして筆を執った次第でございますが、手紙という形に落とし込むには些か言葉が足りそうにありません。あれから、四年の月日が経ちました。私も成人を迎え、ついに過去と向き合う時がやって来たのだと思います。あの日の事を思い、悔やむ事もありました。己の無力さに嘆く事もありました。もっと自分が大人であれば、貴女を救う事が出来たのではないかと。昔の私は、大人になれば貴女のようになれるのだと疑わずにいました。しかし、貴女と同じ年齢になっても、到底貴女にはかないませんでした。貴女は貴女で、私は私にしかなれないのだと、今となって、漸く気付くことが出来たのです。
 私はもう、貴女の声を明瞭に覚えてはいません。ですが、貴女のくれた言葉は、血となり肉となり、私の中に息づいています。過去を悔やむ事は、これで最後にします。たらればの話より、貴女に守られた私のこれからを目にして歩んで行こうと、たった今決めました。どうか、道の続く最期まで、見守っていてくださいね。

 この手紙が貴女に届きますように。      敬具


 また会える日を楽しみに
                    貴女の妹より


敬愛する姉へ

3/30/2023, 11:25:47 AM