目が見えない自分には、全てが関係ないことだった。空の青さも、夕方のオレンジも、朝方の紫も。
「青色が何かは分からないかも知れないけど、青さの形容はきっとあなたにも分かるよ。」
「関係ないよ。僕は何も分からないんだから」
「私はあなたのこころが青く深くいる事は分かる」
僕は青さを知らない。深さを知らない。けれど、彼女の懐のデカさも優しさも愛も僕は容易に理解ができた。
「それを青さというのなら、僕も分かるかもしれない」
「でしょ?」
「君の青さと深さなら、理解できるよ」
ハッとした音が鳴って、彼女は何も言わなくなった。次に聞こえた音は鼻を啜った音だった。
思わず僕は手を伸ばす。彼女の頬を優しく捕まえた。
彼女の涙は温かかった。
/青く深く
6/30/2025, 9:53:31 AM