愛を叫ぶ。
「愛しているわ!」
本心から出た言葉を、今日も演技にまぎれさせて、密かに愛を叫ぶ。
名前すらないこの役は、ただただ片思いをするだけで、振り返ってももらえない。それでもなお、切実に想いを寄せるのだ。
本当に変なところは自分にそっくりで笑ってしまう。ただ。その想いを向ける相手が違うだけ。
きっとあの人もそれが自分に向けられているとは思ってもいないのだろう。でも、それでいい。
せめて、この劇が終わるまでは演技にまぎれて、愛していると愛を囁くのだ。
5/11/2023, 2:28:28 PM