舞姫

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テーマ:足音 (一次創作)
四季いちばんの音色【1】
 
足音なんて、気にしたことがない。
けれど、何故か聞こえるものが一つ。
廊下で響いて、段々教室に近づいて、
「おっはよ〜ございま〜す!」
陽気な挨拶をするこの男子の足音が。
彼の名前は蓮央(れお)。2学年の人気者。
いや、スターといってもいい。
机に荷物を置き、席に座る私に向かって来た。
「ゆりあ、今日の時間割なんだった?」
「自分で確認して。後ろに貼ってあるはずよ」
そっけなく答えると、
「わかった〜」
と笑顔で離れていった。その後ろ姿を見届ける私。
これが私たちの日常。

今日の放課後は委員会活動。
私は図書委員。蓮央は美化委員。
いろいろあってホームルームが遅くなった。
開始時刻まであと2分しかない。
(あぁ、こーゆーときは余裕持ちたいのに!)
焦りとイライラが混じる。勢いでリュックを持って
教室を出た。すると、あまりの焦りで滑って転んだ。
(痛てて…派手にこけたなぁ…)
「ゆりあ!大丈夫か?」
まだ教室にいた蓮央が駆け寄ってきた。
「大丈夫、心配ないわ。ありがと。」
立ち上がると蓮央がリュックを渡してくれた。
「蓮央、急がなくていいの?」
私が少し心配すると、
「なぁに、これくらい走れば間に合う。場所近いし」
と余裕そうにニンマリ笑う。
(やれやれ、そういうトコが憎めない)
渡されたリュックを急いで背負い、それぞれへの
活動場所へ向かう。途中まで一緒だけど。
「またコケないようにしろよ!」
「うるさいわね!もっと急いで!」
私たちの走る足音が揃っているように聞こえる。
一定のリズムで。
                       
続く

あとがき:初めて創作に挑戦しました。
     このシリーズ続けていきたいです。
     
追記:少し編集しました。 

8/18/2025, 1:32:26 PM