『第二話』
就職を期に結婚を前提ならと
一緒に住む事を許された
相手が昨日、出て行った。
約3年間、一緒暮らしていた相手が
最後の言った言葉は
『他に好きな人が出来た』だった。
私は、その言葉に
何も返す事が出来なかった。
『他に好きな人』が
相手には出来ると言う事
なのに私は相手を『好き』だったのかと
聞かれれば即答で『はい』とは言えない気がした。
それなのに、一緒に住む事には抵抗はなかった。
一緒に暮らして約3年間
付き合いからすれば計4年間という時間を
共にしても苦ではなかったと言うだけで
相手を『好き』と言う感情の
本当の定義を分かっていなかったのだ。
初めから、進む歩幅が違っていた。
合わない歩幅は
いつか、曲がり角でもう追いつけなくなる。
私は、ただただ
曲がって見えなくなって行く相手を
追いかけもせず後ろで見ていただけ。
だから、
『他に好きな人は出来た』のなら
それはもう私には止める事は出来ないし
止める理由も無かった。
私は曲がった道の先には、
もうあなたは居ないと
分かっている道の先を眺めて
ただただ、
誰かを『好き』や『愛する』事を
分からないまま
進んで行くのだろうと思った。
12/21/2024, 2:03:23 PM