しろくま

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【ジャングルジム】

子どもの頃、ジャングルジムの1番上に立てばヒーローになれた。
小さな子どもから見れば、ジャングルジムはエベレストと同じくらい高い山だったんだ。
兄貴の真似をしてジャングルジムによじ登り、初めて1番上に立って見渡した公園は、見慣れているはずなのに知らない場所みたいだった。
まるで地球のてっぺんに立ったような最高の気分だった──。

今日は記念日だからと仲間と飲みに行った帰り道、君を誘って少し遠回りしてここに来た。
何十年か振りで訪れたそのジャングルジムは俺の背より低かったが、やっぱりその上から見る景色は新鮮で、最高の眺めだ。
星空の下、秋の気配が濃くなった夜風に君の明るい髪が揺れている。
「三十過ぎてジャングルジムに登るとは思ってなかったよ」
そんなふうに言って君は笑う。

今、俺らはジャングルジムなんかよりもっと高い場所で、もっと明るい光を浴びながら、煌めく景色を眺めることができる。
でもそれは当たり前じゃなく、奇跡みたいなことだ。
心から信頼できる仲間たちがいることも。
君がこうして隣にいることも。

ジャングルジムのバーを握る君の手に、俺の手を重ねた。









9/23/2023, 10:41:19 PM