しじま

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 緋色に染まる世界にひとり。
吹き抜ける風の音、金色の雲が棚引いていた。
世界との境界が曖昧になって、指の先から少しずつ融けて消えてゆくような、そんな危うい感覚に陥る時間。
かえりたい、という欲求、衝動に襲われる時間。
どうしようもなく深い深い孤独に包まれる、かけがえのない時間。

孤独が好きだ。
自分と向き合う時間だから。
 深呼吸をする、息を吸う度、吐く度に孤独が染み渡っていくようで、全ての感情がリセットされたような気分になる。

自分が透明になったような、なんともいえないこの感覚が好きなのだ。

テーマ「沈む夕日」

4/7/2023, 6:03:44 PM